最新重要判例解説(20);最高裁判所平成20年10月10日判決

1 事案
X(原告・控訴人=被控訴人・上告人)は,Y銀行(被告・被控訴人=控訴人・上告人)に本件普通預金を有しており,Xの夫Zは,A銀行に1100万円の定期預金を有していた。
Bらは,これらの口座の通帳と銀行届出印を盗み出し,その日のうちに,Y銀行p支店で,Xの本件普通預金口座等から106万円の払い戻しを受けた(「払い戻し1」)。
さらに,Bらは,その翌日には,A銀行でZの定期預金口座を解約し,解約金元利合計1100万円余りを本件普通預金口座に振り込んだ(この時点での同口座の残高は1101万円弱)。Bらは,続いて,Y銀行q支店において,本件普通預金から1100万円の払い戻しを受けた(「払い戻し2」)。
XがYに通帳等の盗難届を出した時には,すでに払い戻しがなされた後だった。
そこで,Xは,Yに対して,106万円と1100万円の払い戻しを求めた
第1審(東京地判平成17年12月16日)は,払戻し1については民法478条が適用されてYは免責されるとしたが,払戻し2については免責を認めず,1100万円の請求を認容した。
第2審(東京高判平成18年10月18日)は,払戻し1は第1審と同様に判断した。
そして,払戻し2の1100万円は,Zの定期預金口座の解約金がXの本件普通預金口座に振り込まれたものであるから,それに対する払戻請求はX固有の利益に基づくものではないとした。そして,法律上の原因なく振り込まれた1100万円をZへ返還するための履行手段としてならば認める余地があるが,そうした場合でもないので,Xの払戻請求は正当な利益を欠き,権利の濫用に該当するとして請求を棄却した。

2 判旨
破棄差戻し。
「振込依頼人から受取人として指定された者(以下「受取人」という。)の銀行の普通預金口座に振込みがあったときは,振込依頼人と受取人との間に振込みの原因となる法律関係が存在するか否かにかかわらず,受取人と銀行との間に振込金額相当の普通預金契約が成立し,受取人において銀行に対し上記金額相当の普通預金債権を取得するものと解するのが相当であり(最高裁平成4年(オ)第413号同8年4月26日第二小法廷判決・民集50巻5号1267頁参照),上記法律関係が存在しないために受取人が振込依頼人に対して不当利得返還義務を負う場合であっても,受取人が上記普通預金債権を有する以上,その行使が不当利得返還義務の履行手段としてのものなどに限定される理由はないというべきである。そうすると,受取人の普通預金口座への振込みを依頼した振込依頼人と受取人との間に振込みの原因となる法律関係が存在しない場合において,受取人が当該振込みに係る預金の払戻しを請求することについては,払戻しを受けることが当該振込みに係る金員を不正に取得するための行為であって,詐欺罪等の犯行の一環を成す場合であるなど,これを認めることが著しく正義に反するような特段の事情があるときは,権利の濫用に当たるとしても,受取人が振込依頼人に対して不当利得返還義務を負担しているというだけでは,権利の濫用に当たるということはできないものというべきである。」
本件では,払戻し2の事実も特段の事情となるものではなく,払戻請求は権利の濫用に当たらない。払戻し2が債権の準占有者への弁済として有効であるか否かを審理させるため原審に差し戻す。

3 解説
本件判決は,原審が示した権利濫用論には問題があるとして否定したものである。
また,「払戻しを受けることが当該振込みに係る金員を不正に取得するための行為であって,詐欺罪等の犯行の一環を成す場合であるなど,これを認めることが著しく正義に反するような特段の事情があるときは,権利の濫用に当たる」としている点で,誤振込によっても銀行に対する普通預金債権を取得するとする民事判例と,誤振込と知りつつこれを秘して銀行から払い戻しを受けた場合に詐欺罪が成立するとした刑事判例双方と整合性を取っている判決だともいえる。

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