最新判例紹介(1)(最高裁判所平成24年10月12日第二小法廷判決)

会社分割について詐害行為取消権の行使を認めた上記最高裁判所判決の紹介と簡単な解説を致したいと思います。
1 事案
本判決は、銀行から5億6000万円の融資を受けたA株式会社が会社分割によって新会社Bを設立し、その新会社Bに主たる財産である不動産所有権を移転し、銀行に対する借入債務は新会社Bに移転せずA株式会社にそのままとどめおいた会社分割に関して、銀行からA株式会社に対する貸付債権を取得した債権回収会社が上記会社分割の効力及びA株式会社から新会社Bへの不動産所有権移転の効力の取消を民法424条、詐害行為取消権に基づき訴訟提起して請求した事案を対象としています。

2 本判決の要旨
「新設分割は,一又は二以上の株式会社又は合同会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割により設立する会社に承継させることであるから(会社法2条30号),財産権を目的とする法律行為としての性質を有するものであるということができるが,他方で,新たな会社の設立をその内容に含む会社の組織に関する行為でもある。財産権を目的とする法律行為としての性質を有する以上,会社の組織に関する行為であることを理由として直ちに新設分割が詐害行為取消権行使の対象にならないと解することはできないが(大審院大正7年(オ)第464号同年10月28日判決・民録24輯2195頁参照),このような新設分割の性質からすれば,当然に新設分割が詐害行為取消権行使の対象になると解することもできず,新設分割について詐害行為取消権を行使してこれを取り消すことができるか否かについては,新設分割に関する会社法その他の法令における諸規定の内容を更に検討して判断することを要するというべきである。
そこで検討すると,まず,会社法その他の法令において,新設分割が詐害行為取消権行使の対象となることを否定する明文の規定は存しない。また,会社法上,新設分割をする株式会社(以下「新設分割株式会社」という。)の債権者を保護するための規定が設けられているが(同法810条),一定の場合を除き新設分割株式会社に対して債務の履行を請求できる債権者は上記規定による保護の対象とはされておらず,新設分割により新たに設立する株式会社(以下「新設分割設立株式会社」という。)にその債権に係る債務が承継されず上記規定による保護の対象ともされていない債権者については,詐害行為取消権によってその保護を図る必要性がある場合が存するところである。
ところで,会社法上,新設分割の無効を主張する方法として,法律関係の画一的確定等の観点から原告適格や提訴期間を限定した新設分割無効の訴えが規定されているが(同法828条1項10号),詐害行為取消権の行使によって新設分割を取り消したとしても,その取消しの効力は,新設分割による株式会社の設立の効力には何ら影響を及ぼすものではないというべきである。したがって,上記のように債権者保護の必要性がある場合において,会社法上新設分割無効の訴えが規定されていることをもって,新設分割が詐害行為取消権行使の対象にならないと解することはできない。
そうすると,株式会社を設立する新設分割がされた場合において,新設分割設立株式会社にその債権に係る債務が承継されず,新設分割について異議を述べることもできない新設分割株式会社の債権者は,民法424条の規定により,詐害行為取消権を行使して新設分割を取り消すことができると解される。この場合においては,その債権の保全に必要な限度で新設分割設立株式会社への権利の承継の効力を否定することができるというべきである。」

3 本判決の解説
新会社を設立して資産を新会社に移転する一方で、債務は新会社に移転せずに旧会社にとどめる会社分割について、旧会社に債務返済能力がない場合に、民法424条、災害行為取消権を行使して訴訟によって会社分割の効力を争うケースが近時増えています。会社分割は合併と同様に組織行為とのみとらえれば取引行為を対象とする詐害行為取消権行使を認めることはできなくなりますが、会社分割は組織行為とともに新会社に資産が移転する点で取引行為との側面を有しています。本最高裁判決は、会社分割の取引行為の側面に着目して会社分割に対する詐害行為取消権の行使を認めた初めての最高裁判決になります。
本最高裁判決が出されるまでは高等裁判所で本最高裁判決の原審も含めて会社分割についての詐害行為取消権の行使を認める判決が4件出されています。本最高裁判決では、A株式会社にめぼしい財産はないことから、新会社への不動産所有権移転の効力を取り消す判決を出しましたが、その他の判決では、会社分割による財産移転によって侵害された債権の損害額に相当する価格賠償が新会社に対して命じていますが、本最高裁判決では、新会社にめぼしい財産が当該不動産以外になかったことから不動産所有権の効力を取り消すとの判決を出しました。今後は、詐害行為取消権行使の効果について、他の高裁判決が判示している価格賠償を原則とするのか、新会社に移転された財産の移転を取り消すことを原則とするのか、どのような場合に価格賠償としどのような場合に財産移転の取消となるかが問題になると思われます。

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